ここ数年で、VTuberのライブイベントが大きな注目を浴びています。
画面越しにしか会えなかった彼らが、舞台上で歌い踊る姿に心を奪われた方も多いのではないでしょうか。
しかし、その華やかなステージの裏側には、最新の技術と多くの専門家たちの努力が隠されています。
今回は、VTuberライブがどのように作られているのか、その仕組みをわかりやすく解説します。
VTuberライブの仕組みを知ろう
VTuberライブはどこで行われているの?
VTuberライブは、年々その規模を拡大し、大規模な会場での開催が増えています。
主な会場としては、以下のような大規模な施設が利用されています。
東京エリア
- 幕張メッセ
ホロライブの「hololive 6th fes. Color Rise Harmony」など、大規模イベントの開催が予定されています。 - 東京ビッグサイト
広大なスペースを活かしたイベントが可能です。 - 有明アリーナ
最新の設備を備えた多目的アリーナです。 - 東京ガーデンシアター
音響・照明に優れた劇場型ホール。 - 国立代々木競技場 第一体育館
スポーツからコンサートまで多彩なイベントに対応。
その他のエリア
- Kアリーナ横浜(横浜市)
最新技術を導入した大型アリーナ。 - 日本武道館
音楽の聖地として知られ、VTuberライブも開催。 - 大阪城ホール(大阪)
関西エリアの大規模イベントの拠点。 - 国技館(東京)
伝統的な雰囲気の中で特別なライブ体験が可能。
これらの会場では、大型スクリーンや最新のARカメラなどが活用され、VTuberの魅力を最大限に引き出すステージが作られています。
会場の規模や設備に合わせて、ステージの演出やモニターの配置が工夫されており、訪れるファンにとって忘れられない体験が提供されています。
3D技術でどうやって動いているの?
VTuberの3Dアバターは、モーションキャプチャ技術とリアルタイムのトラッキングシステムによって動いています。
全身の動きを検知するために、カメラやセンサーが使用され、顔の表情認識にはAIが活用されます。
これらのデータがアバターに反映され、自然な動きが実現されるのです。
モーションキャプチャ技術
- 全身の動きを捉える
演者は専用のスーツやセンサーを身に着け、全身の動きをリアルタイムでキャプチャします。
「mocopi」のようなモバイルモーションキャプチャシステムや、にじさんじが導入している「VICON V16」など、高精度な機材が使われます。 - 表情のキャプチャ
表情の細かな動きは、iPhoneのARKit技術などを用いて捉えられます。
これにより、笑顔や驚きなど、繊細な感情表現が可能になります。
3Dモデリングとリアルタイムレンダリング
- 3Dモデルの制作
VTuberのキャラクターは、3D専用ソフトウェアで細部までデザインされます。
髪の動きや衣装の質感など、リアリティを追求しています。 - ゲームエンジンでの統合
Unityなどのゲームエンジンでモーションデータと3Dモデルが統合されます。
リアルタイムレンダリングにより、その場で動きを反映できます。
配信と特殊効果
- 配信技術
OBSなどのソフトウェアを用いて、ライブ映像が配信プラットフォームに送られます。 - AR/VR技術
グリーンバックやAR技術を活用し、バーチャルとリアルの融合したステージ演出が行われます。
背景やエフェクトを自由に変更できるため、創造的な演出が可能です。
有観客と無観客、何が違うの?
VTuberライブには、実際に観客を入れて行う有観客ライブと、オンラインで配信する無観客ライブがあります。
それぞれに特徴と利点があります。
有観客ライブ
- 臨場感と一体感
観客が直接会場に集まり、ペンライトを振ったり声援を送ったりすることで、ステージと客席が一体となった盛り上がりが生まれます。 - 物理的な制約
会場のスクリーンには2Dに変換された映像が映し出されるため、観客はモニターを通してVTuberを観覧します。
また、収容人数に限りがあるため、参加できるファンの数が限られます。
無観客ライブ
- オンラインの利便性
世界中から参加でき、地理的な制約がありません。
自宅から気軽にライブを楽しめます。 - 高度な演出
3Dモデルをそのまま使用できるため、立体的でダイナミックな演出が可能です。
ARやxR技術を駆使し、バーチャルならではのステージが展開されます。 - インタラクティブ性
チャット機能やリアクションツールを使って、視聴者がリアルタイムで反応を伝えることができます。
最近では、観客がいるライブとオンライン配信を組み合わせた新しい形のイベントも増えています。
それぞれの良さを活かしたライブが今後も増えていくでしょう。
VTuberライブを支える舞台裏
舞台裏で活躍する人たち
VTuberライブの舞台裏を支えているのは、たくさんの専門家たちです。
モーションキャプチャの技術者や、キャラクターのデザインをする3DCGデザイナー、映像を作るクリエイター、音響や照明のスタッフなど、さまざまな分野の人が関わっています。
技術スタッフ
- モーションキャプチャエンジニア
演者の動きを正確にデータ化し、3Dモデルに反映させます。 - 配信エンジニア
映像や音声の遅延を最小限に抑え、高品質な配信を実現します。 - システム開発者
Unityなどのエンジンを用いて、ライブ演出用のシステムを構築します。
クリエイティブスタッフ
- 3Dモデラー・デザイナー
キャラクターやステージ、美術セットなどをデザイン・制作します。 - 映像クリエイター
ライブ映像の編集や特殊効果の制作を担当します。 - 音響エンジニア
音楽や効果音のミキシング、音響効果の最適化を行います。
演出・ディレクター
- ステージディレクター
ライブ全体の流れや演出を統括し、最適なパフォーマンスを引き出します。 - 照明スタッフ
バーチャル空間内での照明効果を計算し、視覚的な魅力を高めます。
マネジメント・サポート
- プロダクトマネージャー
イベント全体の進行管理や調整を行います。 - 配信サポートスタッフ
視聴者からの反応を分析し、円滑なコミュニケーションをサポートします。
みんなが力を合わせることで、素晴らしいライブが実現しているのです。
にじさんじやホロライブの事例
にじさんじやホロライブは、VTuber界をリードする大規模プロダクションとして知られ、技術面・制作面で意欲的な取り組みを行っています。
にじさんじ
にじさんじでは、大規模なモーションキャプチャスタジオを持ち、最大級のモーションキャプチャシステムを導入しています。
特に「LIGHT UP TONES」では、リアルタイムARライブを実現し、現実のステージとバーチャルなVTuberがシームレスに共演しました。
また、生バンドとのコラボレーションや、AR技術を駆使した演出など、新たな試みに積極的に挑戦しています。
ホロライブ
一方、ホロライブは、大規模なフェス形式のライブイベント「hololive SUPER EXPO」を開催し、多くのVTuberが一堂に会する華やかなステージを展開しています。
最新の技術を取り入れた演出や、VR空間でファンと直接交流できるイベント企画など、常に進化を続けています。
また、海外展開も積極的に行い、国境を越えたファンベースを築いています。
両者に共通しているのは、クオリティに対する強いこだわりです。
新しい技術やアイデアを積極的に取り入れて、ライブのクオリティは年々向上しています。
その結果、VTuber業界全体を引っ張る存在となっています。
見え方にこだわる仕組み
VTuberライブでは、観客にリアルに見えるようにするために、さまざまな技術と工夫が凝らされています。
たとえば、カメラの動きを工夫して臨場感のある映像を作ったり、キャラクターの存在感を引き立てるライティング技術も欠かせません。
近年注目を集めているのが、ボリュメトリックビデオという技術で、多数のカメラで撮影したデータを使って、キャラクターを3Dで表現する方法です。
- カメラワークと映像演出
バーチャル空間内に複数のバーチャルカメラを配置し、自由な視点からの映像を提供します。
リアルタイムでのカメラスイッチングにより、臨場感あふれる映像体験を実現します。 - ライティング
バーチャル照明を活用し、ステージやキャラクターの雰囲気を自在に演出します。
光と影の表現を細部まで追求し、実在感を高めます。 - 特殊効果とAR技術
AR技術により、現実の風景とバーチャルな要素を融合させた演出が可能です。
ボリュメトリックビデオ技術を用いて、アーティストの3Dデータを生成し、360度の自由な視点で映像を楽しむことができます。 - 高品質な3Dモデル
キャラクターの質感や動きを自然に見せるために、モデリングやアニメーションの品質向上に努めています。
髪の毛や衣装の細かな揺れ動きなど、細部にまでリアリティを追求しています。
VTuberライブの仕組みまとめ
VTuberライブの魅力とその裏側
この記事では、VTuberライブがどのように作られているのか、仕組みと舞台裏について詳しく紹介しました。
VTuberライブでは、3D技術やモーションキャプチャ、リアルタイム合成など、最新の技術を使いながら、バーチャルとリアルが融合した体験を提供しています。
その裏には、技術者やクリエイター、スタッフたちの情熱と努力があります。
見えないところで積み重ねられる彼らの努力が、私たちを魅了するVTuberライブを支えているのです。
これからのVTuberライブはどう進化する?
VTuberライブはこれからも進化し続けるでしょう。
たとえば、もっとリアルに感じられるxR技術や、みんなで参加できるライブなど、新しい体験が生まれるかもしれません。
以下のような可能性が期待されます。
- インタラクティブ性の強化
視聴者がVRデバイスを通じてバーチャル空間に参加し、VTuberと直接コミュニケーションを取る体験が実現するかもしれません。 - AIとの融合
AI技術を取り入れたVTuberが登場し、より高度な対話や自律的なパフォーマンスが可能になるでしょう。 - グローバル展開
言語の壁を越えたライブ配信や、国際的なコラボレーションイベントなど、VTuberの活躍の場が世界に広がっていくでしょう。 - 新たな演出技術
ホログラムや4D技術など、より現実に近い体験を提供するための技術が導入される可能性があります。
他にも、音楽やダンスだけでなく、演劇や教育とのコラボも期待されています。
さらに、VTuberライブの技術が学校や会社で使われることも増えるかもしれません。
バーチャル空間が身近になる時代に向けて、VTuberライブの可能性はどんどん広がっていきそうです。
私たちは、VTuberライブの進化を通じて、新しいエンターテインメントの形を目撃しています。
その未来は無限大であり、これからのVTuberライブがどんな未来を見せてくれるのか、とても楽しみですね。